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財形貯蓄とは?メリット・注意点を徹底解説!

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「財形貯蓄」という言葉は、一般企業に勤めている方なら耳にしたことがあるのではないでしょうか。

財形貯蓄は、毎月定額が給与から天引きされる制度なので、確実に貯蓄ができます。

「手元にお金があるとつい使い込んでしまう」という貯金に苦手意識がある方には、オススメの制度です。

財形貯蓄を始める前に、メリットや注意点をあらかじめ知っておくと良いでしょう。

財形貯蓄とは

財形貯蓄とは、給与から天引きで積み立てていく貯蓄のことです。

毎月またはボーナス時期に、一定額を勤務先の会社を通じて提携先の財形貯蓄取扱金融機関に払い込みます。

「勤労者財産形成促進制度」の一つで、マイホーム購入や老後の資金など、国と会社が勤労者の資産形成を支援する制度です。

勤労者とは、職業の種類、雇用の形態にかかわらず、事業主に雇用される方すべてを指します。

フリーランス(個人事業主)は対象外です。

払い込む貯蓄商品は会社によって異なりますので、まずは勤め先に聞いてみることをオススメします。

財形貯蓄の種類は3つある

財形貯蓄の種類には3つあります。

財形貯蓄の種類は3つ

  1. 一般財形貯蓄
  2. 財形住宅貯蓄
  3. 財形年金貯蓄

お金を貯める目的によって分けられます。

①一般財形貯蓄

一般財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄)は利用目的を問わない、使い道が自由な貯蓄のことです。

年齢制限はなく、積み立て開始から1年後に引き出せます。

ただし、原則3年以上の積み立てが必要です。

一般財形貯蓄には、預金の利息や投資信託の配当金に対して20.315%の税金が発生します。

「貯蓄の目的は決まっていないけど、ひとまず貯めたい」という方にオススメです。

②財形住宅貯蓄

財形住宅貯蓄(勤労者財産形成住宅貯蓄)は、マイホームの購入・建設やリフォームなど住宅に関する資金形成のための積み立て貯蓄です。

貯蓄残高550万円(財形年金貯蓄も利用している場合は両方の合計金額)までの利息等が非課税になります。

ただし、住居に関する目的以外で引き出した場合、引き出した月から遡って過去5年に発生した利息等に課税されます。

積立期間は5年以上必要で、契約時の年齢は満55歳未満、他に住宅財形契約をしていない方(財形年金貯蓄との併用可)に限ります。

「将来マイホームを購入したい」「今住んでいる家をリフォームしたい」という方には財形住宅貯蓄がオススメです。

③財形年金貯蓄

財形年金貯蓄(勤労者財産形成年金貯蓄)は、満60歳以降に年金として受け取れる老後の資金作りのための積み立て貯蓄です。

貯蓄残高550万円(財形住宅貯蓄も利用している場合は両方の合計金額)までの利息等が非課税になります。

保険商品などは払込額385万円まで利息差益が非課税です。

ただし、老後の資金以外の目的で引き出した場合は、要件違反となり遡って過去5年に発生した利息等に課税されます。

残額も財形年金貯蓄として認められません。

積立期間は5年以上必要で、契約時の年齢は満55歳未満、他に年金財形契約をしていない方(財形住宅貯蓄との併用可)に限ります。

受け取り期間は、満60歳以降で5年以上20年以内です。

保険商品の場合、終身受け取りも選択できます。

積み立て終了から年金受け取り開始まで、5年以内の据え置き期間を設定できます。

財形貯蓄のメリット5つ

財形貯蓄,メリット

財形貯蓄のメリットは5つです。

財形貯蓄のメリット5つ

  1. 自動的に貯蓄できるので楽
  2. 目標に応じた資産形成ができる
  3. 利息が非課税になる
  4. 住宅ローンの負担を軽減できる
  5. 財形給付金を受給できる

財形貯蓄の利用には優遇措置が設けられています。

詳しく解説していきます。

①自動的に貯蓄できるので楽

財形貯蓄は、自分で設定した定額を月々の給与から自動的に天引きされます。

この自動的な給与天引きは「気づいたらかなり貯まっていた」という声が挙がるくらい、楽で着実な貯蓄方法といえるでしょう。

特にお金が手元にあるとつい使ってしまう方や、資産形成の手間をかけたくないという方にオススメです。

②目標に応じた資産形成ができる

財形貯蓄は、毎月またはボーナス時期の積み立て額を1,000円から設定できるので、ご自身の貯蓄の目標に応じた資産形成ができます。

途中で積み立て額の変更もできるので、ライフスタイルが変わった場合でも他の出費に影響を与えません。

また上記で説明した通り、財形貯蓄には3種類あるので、マイホーム購入や年金などご自身の目的に合った資産形成ができます。

年間で貯蓄に回したい金額が明確に決まっている方にとっては、財形貯蓄の特性を活かせるのでオススメです。

「貯蓄の目標設定を後回しにしがち」という方は、ファイナンシャルプランナーなどに相談して資産形成の計画を手助けしてもらうのが良いでしょう。

③利息が非課税になる

一般的な預貯金の利息には通常20.315%の税金がかかりますが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、貯蓄残高550万円(財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を併用場合は両方の合計金額)までの利息等が非課税になります。

保険商品で積み立てる場合は、財形住宅貯蓄は払込額550万円まで、財形年金貯蓄は払込額385万円まで利息差益が非課税です。

一定額を超えた時点以降に発生した利息等に関しては課税されます。

お金も貯められて利息等も非課税となるのは嬉しいですよね。

ただし、一般財形貯蓄の場合、利息等は非課税になりませんので、注意が必要です。

④住宅ローンの負担を軽減できる

財形住宅貯蓄を利用している勤労者は「財形持家転貸融資」という住宅ローンを受けられます。

財形持家転貸融資は、財形住宅貯蓄を利用している勤労者が住宅に関わる必要資金を、事業主を通じて融資する制度です。

財形持家転貸融資は、金利が0.87%(2023年6月時点)と低く設定されています。

フラット35を利用した場合の金利は年1.43%〜年2.00%(2023年6月時点)なので、他の住宅ローンに比べて金利が低いことが特徴です。

また財形持家転貸融資は、事務手数料や保証料が不要です。

民間の金融機関で住宅ローンを申し込む際は、事務手数料が必要です。

事務手数料は、金融機関によって金額が固定されている「定額型」と、住宅ローンの借入額に乗じた「定率型」があります。

定額型の場合、おおよそ数万円〜33万円(税込)の手数料がかかります。

財形持家転貸融資の借入額の上限は4,000万円です。

他の住宅ローンとの併用ができるため、組み合わせて利用すると金利が低く抑えられ、負担を軽減できます。

⑤財形給付金を受給できる

財形貯蓄を利用すると財形給付金が受給できます。

財形給付金とは、事業主が財形貯蓄を利用している勤労者1人につき10万円を上限として拠出を行い、7年経過ごとに拠出金と運用益の合計金額を財形給付金として勤労者に支払う制度です。

財形給付金は、勤労者の資産形成の援助・促進をします。

勤労者が受け取る財形給付金は一時所得扱いとなり、50万円まで非課税です。

財形貯蓄のデメリット4つ

財形貯蓄,メリット

財形貯蓄のデメリットは4つです。

財形貯蓄のデメリット4つ

  1. 利用できない会社もある
  2. 金融機関によって利率が異なる
  3. 商品によっては元本割れのリスクがある
  4. 所得税控除がない

財形貯蓄はリスクが低いため、必然的にリターンも低くなります。

詳しく解説していきます。

①利用できない会社もある

勤め先の会社で財形貯蓄制度を導入していなければ、利用できません。

また、転職を予定している方は注意が必要です。

会社ごとにも提携先の金融機関は異なる場合がありますので、転職先で同じ貯蓄商品に積み立てができない可能性があります。

積み立ての猶予期間は2年間なので、それを過ぎると強制解約となります。

解約となると、一般財形貯蓄は残高がそのまま払い出されますが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄で積み立てしている方は、目的以外の払い出しになりますので、過去に非課税だった利息等に税金がかかります。

育休を取得する場合は、育休前最後に給与天引きされてから2年以内に貯蓄を再開するのであれば、解約する必要はありません。

②金融機関によって利率が異なる

金融機関によって利率が異なりますが、提携先の金融機関は勤め先が決めるため、勤労者は自由に金融機関を選べません。

また、普通預金よりも利率が高いものの、どの金融機関でも金利が0.01%であることが多く、運用益には期待できないことがほとんどでしょう。

「同じ金額でより利率が高い貯蓄商品で効率よく資産形成をしていきたい」という方は「NISA」や「iDeco」を選びましょう。

ただ、給与から自動的に天引きされるのが楽なので、貯金額にあれこれ悩むのが手間だと考える方は財形貯蓄がオススメです。

③商品によっては元本割れのリスクがある

定期預金、有価証券(投資信託、公社債など)、保険(生命保険、生命共済、損害保険)など様々な貯蓄商品があります。

勤め先が保険会社や証券会社と提携することで、有価証券商品や保険商品などを利用できます。

有価証券商品と保険商品には、元本割れのリスクがあるので注意が必要です。

ご自身でリスク許容度(元本割れしたときにどれくらいまでのマイナスなら受け入れられるか)を明確にして、ご自身にとっての安定した資産形成を行いましょう。

④所得税控除がない

財形貯蓄には所得税控除がありません。

一方で、個人型確定拠出年金である「iDeCo」は、掛け金の全額が所得税控除されることで、課税所得額から住民税と所得税が軽減されます。

より税金対策していきたい方は「iDeCo」をオススメします。

ただ「iDeCo」は、必ずしも給与から天引きできるとは限りません。

給与天引きの可否は会社によって異なるので、勤め先に確認が必要です。

財形貯蓄には所得税控除がありませんが、「iDeCo」とは違い強制的に給与から天引きで貯蓄されるので貯金の意志が弱い方は財形貯蓄が良いでしょう。

まとめ~財形貯蓄で安定した資産形成をしよう~

ここまで財形貯蓄について解説してきました。

内容をまとめます。

財形貯蓄とは、勤労者が勤め先の会社を通じて貯蓄をする制度です。

利息は低いですが、毎月自動的に給与から天引きされるので、資産形成の手間が省けてとても便利です。

目的別に「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」という3種類があります。

「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」には利息等が非課税になる、財形給付金を受給できるなどのメリットがあります。

マイホームの購入やリフォーム計画がある方や老後の資金を安定的に貯めたい方、強制的にお金を貯めていきたいという方にはオススメです。

万が一勤め先が倒産しても、資金の預け先は提携の金融機関ですので仕事も貯蓄も一気に失うことはありません。

財形貯蓄は低利率ではありますが、そのかわりリスクも低いという、いわゆるローリスクローリターンで、安定した資産形成の土台を築けます。

財形貯蓄の特性を理解して、安定した資産形成をしていきましょう。